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第5回「地域創生論」『ウクライナ戦争と東北の安全保障』が行われました。

授業関係
5月11日は共同通信社盛岡支局長の小林義久氏を講師として開講されました。小林氏はウィーン、ニューヨーク、ジュネーブ支局/支社、本社外信部担当部長を経て現職。専門は国連などの多国間外交、アメリカ政治、中東欧の政治?社会問題です。近著は「国連安保理とウクライナ侵攻(ちくま新書 2022年7月10日発行)。現場、現地を知る国際現役ジャーナリストから学生向けにわかりやすく吟味のある講義がありました。

講義の冒頭「なぜウクライナ戦争は起きたのか」では、プーチン大統領が旧ソ連崩壊後の疲弊混乱した国(現ロシア)を豊かにした(原油資源高が追い風)。プーチンは自信を深め、国内は大丈夫だという自信をつけ、ついに国外の旧ソ連の領土復活を目指す様になった。2000年頃は真っ暗ですすけていたロシア(モスクワ))が今では輝く国家(都市)となった。ソ連崩壊の辛酸を舐めたロシア国民にとりプーチンは救世主であり根強い支持がある。プーチンは元スパイ、その政治手法には謀略?暗殺等スパイ的な影がつきまとうとの解説がありました。(現地取材や勤務実感に基づくご本人からの肉声解説には迫力があり、この冒頭解説に限らず、講義内容は多くの学生を覚醒させました。授業レスポンスカードより)。
続いて、「NATOとは何か」(条約による軍事同盟)。「ロシアにとってウクライナとは?」、「今の国際秩序(国連体制-集団安全保障体制)は誰がつくったのか?」、「国連の仕組みの解説(安全保障理事会、総会)」。安保理常任理事国は5か国(5人の警察官)だけで、その安保理決議だけが法的強制力を持っている等等の国連機能の解説がありました。今回の戦争はその常任理事国のロシアが引き起こしたもので警察官が泥棒になったと同じ。こういう事態は想定されておらず、その集団保障体制は画餅となってしまった。その結果、民主主義国家、覇権主義国家、グローバルサウス(発展途上国)という分断が進んでいる。次に日本の平和は保たれるかを「ウクライナ戦争はどうなるか?」、「中国の台湾進攻はあるか?」、「朝鮮半島有事はあるのか?」、「その時に日米安全保障条約は機能するのか?」、「日米安保だけで十分か?」の?に答えるかたちで含蓄に富む解説がありました。日本が核兵器を持つのは現実的でない(米国が許さない)。防衛力強化は軍拡競争になるだけ。日本は中立国の知恵に学べるのではないか、とのスイスの事例の紹介がありました。スイスには数多くの国際機関(ILO、WHO、UNDF、WTO、UNHCR等々).そして国際実験施設の大型ハドロン衝突型加速器Large Hardron Collider=LHC が有ります。多くの外国人が居住する国際機関は攻撃にしにくく、国際機関を国内に誘致することは日本の安全保障につながる。現在、北上山地にILC(国際リニアコリダー)の国際実験施設の誘致計画があり、実現すれば日本に本部が置かれる初の本格的な国際機関となり、これが「東北の安全保障(本講義タイトル)」につながるのではと講義を終えられました。

質疑応答では、「ILC誘致が日本の安全保障につながるという認知度はどれほどか?」、「日本がNATOに加盟すればいいのでは?」、「ウクライナ戦争は誰が終結させるのか?」、「安保理の改革の可能性は?」、「ウクライナ戦争の世界の食料問題への影響は?」、「日本での報道は欧米寄りに偏向しがちであるとのことだが、対応法はあるか?」等等があり、小林氏の含蓄示唆に富む丁寧は回答がありました。講義の随所で「学生諸君には是非海外を経験して欲しい。旅行、短期滞在(ワーキングホリディ)、留学等々何でもよい。若い時に体験しておくことは為になる!!!」というアドバイスがありました。

右から 小林支局長、岡田学長。阿部花巻市議


授業風景