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第14回「地域創生論」 『知ることから始めよう! 食?くらしを守るための消費者運動』が行われました

授業関係
7月11日の講義は、岩手県生活協同組合(生協)連合会専務理事の吉田敏恵氏を講師として開催されました。協同組合には農協、漁協、森林組合等いろいろありますが生協は名前への通り、人々が協同し合うことでみんなの生活の幸せを実現し、社会をより良くしたいとしている経済組織であり、そのための運動体です。吉田氏は県内の各生協のまとめ役の連合会で消費者運動(国や県へに政策提言、諸団体との協同等)に取り組まれています。その活動につき以下の3項目について話されました。

1. 消費者運動とはなにか。
 消費者運動とは、「消費者問題の解決?防止と消費者の権利の確立を目指す社会的運動のことで、消費者自身による消費者のための運動であり、運動の歴史について解説されました。戦後から1960年代までは生きるための運動、60年代の高度成長期には大量生産?大量販売への歪みの是正(安全や公害?環境問題)、経済成長の負の側面へ警鐘をならした。1970~2000年は「市場開放?規制緩和」「バブル景気とその崩壊」への対応。2000年以降は経済の低迷と相まった企業倫理の崩壊や不祥事に対する消費者の権利を求める運動が続いている。本来経済とは「経世済民(世をおさめ、民を救う)」であるべきだが現実はそうはなっていない。企業の利益だけが優先され、暮らしへの影響や人権、消費者の権利が軽視されている。世界人口の1%の富裕層が99%の人々の資産より大きいなどの不公正な状況が「グローバリズム」と、「新自由主義」で出現しており、それへの対抗や是正が消費者運動である。

2.食やくらしをめぐり起こっていること
今の日本が消費者?生活者本位の社会となっているのかを「食」の面から考える講義でした。消費者の権利を8つに大別し、その権利が尊重されているかの吟味を示されました。今起こっていることは、「食品価格の記録的値上げ」、「食料確保への将来不安の増大(日本は先進国で最低レベルの食料自給率)」、「食品の安全を守る規制の後退(成長ホルモン剤、残留農薬、遺伝子組み換食品、ゲノム編集食品)」等であり、特に遺伝子組み換え食品とゲノム編集食品の問題点について詳細な解説がありました。

3.消費者や生活者に何ができるだろうか。
生協として、個人としてできることの紹介があり、個人が出来る下記7つの推奨がありました。①食の安全、食料の安定確保に関心を持つ。農業や第1次産業の大切さを考える。②エシカル消費をする。③できるだけ自分で料理する。④自分の利用するお店に商品に対する要望や意見を伝える。⑤パブリックコメントを出す。⑥地元産、県産、国産を購入する。⑦地域農業?食の安全を守る自治体?県行政にしていく(選挙すること)。
生協としては下記5つに努力している。①安心できる商品をつくる。②産直?地産地消運動を進める。③(望ましい生産者を)買うことで応援、買い支える。④県内諸団体と力をあわせ運動する。⑤国の政策に問題がある時は反対したり要求運動をする。
 結びに、権力を持つ人が、自分たちに都合のいい施策や政策をすすめる際に最も都合がいいのは「国民が無関心なこと」、「なんでも容認」し「すぐ忘れること」。なので「わからせないように」、「説明しないように」、「ごまかし」たり、「目をそむけ」たり、「いいことだけを伝え」たりする様にしがちである。黙っていて向こうから消費者の権利がやってくることはまれ(これまでの経験から)。消費者の権利を守れと主張する(「綱を引く」)ことが消費者運動。まずはその為に私たちがなすべきは「知ること」、「関心をもつこと」と講義表題を強調され講義を結ばれました。
 その後は、「食の安全」、「食育」、「生協の取組への感謝」等の質疑応答がありました。地域創生論での取り上げた全ての講義は消費者運動に関係しています。授業形式は今回がラストなので、これまでの全講義との関係性を意識して聴講する様に予習で学生に喚起しておきました。多くの学生が「知ること」、「関心を持つこと」の大事さと重要さを自覚した示唆と含蓄に富む講義となりました(授業レスポンスカードより)。

写真1 左)岡田学長、右)吉田専務理事  写真2: 授業風景   
      


写真3:授業風景            写真4 授業風景